紀元前660年に大規模な太陽嵐が発生していた
太陽嵐とは、フレアと呼ばれる太陽表面での爆発的現象によって生じる、高速・高エネルギーのプラズマ(電離気体)や荷電粒子、電磁波の流れである。70年ほど前から研究者によって直接観察されるようになり、人工衛星や地上の通信システム、電力インフラなどに甚大な被害をもたらすおそれがあるものだということがわかってきた。
では、人類が太陽嵐を直接観察し始める以前、いつ、どれくらいの規模の太陽嵐が発生していたのだろうか。スウェーデンのルンド大学の研究チームは、北極圏グリーンランドの氷床から採掘した氷床コア(氷の試料)を分析し、2610年前の紀元前660年に大規模な太陽嵐が発生していたことを明らかにした。この太陽嵐は、これまでに確認されたものの中で最大規模とみられる紀元後775年の太陽嵐を超えるものだという。
過去に発生した太陽嵐は、年輪の炭素14や氷床コアのベリリウム10、塩素36といった、毎年一定に堆積する化学物質の中に”記録”されており、これを分析することで間接的に太陽嵐を観測できる。これまでに、この手法によって、775年と994年に太陽嵐が発生したことが確認されている。
研究者は「今、この太陽嵐が発生したら、現代のハイテク社会に深刻な影響をもたらすだろう」と述べ、「太陽嵐から社会を守る対策を講じるべきだ」と警鐘を鳴らしている。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/03/70102610.php
巨大磁気嵐と人間の文明:1859年の太陽嵐が示すもの
1859年9月2日午前9時30分、ボストンのステート通り31番地にあった電信局の交換台で過電流が生じた。交換手らは、機器に接続されていたバッテリーを外し、空気中を伝わる電気のみで営業を続けた。[1859年は、日本では江戸時代末期の安政6年にあたる]
この日の未明には、記録が残されている限りで最も明るいオーロラが発生し、地球の空の広範囲を覆っていた。これらの「嵐」が起こる18時間前、それまでの5年間太陽黒点の観察を続けていたイギリスの天文学者、リチャード・キャリントンが、日課としている観測中に、明るい光の点を2つ見つけていた。
キャリントンは観測に基づき、この光とその後のオーロラには関係があると述べたが、当時の科学界ではその説はなかなか受け入れられなかった。
1859年にキャリントンの観測した現象は、現在では、通常は核融合により摂氏5500度ほどになっている太陽の表面温度が、それ以上に熱せられて起こったものだと分かっている。この過熱の原因となるエネルギーは、太陽の磁場の膨張した部分が弾けてまたつながるという磁気爆発から来ている。
1989年にも磁気嵐の影響でカナダのケベック州で9時間にわたって停電。600万人に影響し、復興に数ヵ月を要した。2003年にも大規模な太陽フレアが頻発し、衛星や地球上の無線通信に多くの悪影響を与えた。
科学者たちは、大規模な磁気嵐の原因についても理解できていないし、次の大規模な磁気嵐がいつ起こるかの予測もできていない。地球の技術システムを地磁気の異常から守るための闘いは今なお続いている。
https://wired.jp/2009/09/09/%e5%b7%a8%e5%a4%a7%e7%a3%81%e6%b0%97%e5%b5%90%e3%81%a8%e4%ba%ba%e9%96%93%e3%81%ae%e6%96%87%e6%98%8e%ef%bc%9a1859%e5%b9%b4%e3%81%ae%e5%a4%aa%e9%99%bd%e5%b5%90%e3%81%8c%e7%a4%ba%e3%81%99%e3%82%82/
巨大太陽嵐が地球を襲うとどうなる?
インフラ破壊をもたらす地震、台風、豪雨も怖いけど、 もっと恐ろしいのが宇宙気象。超巨大太陽嵐にやられたら地球のテクノロジーはひとたまりもなく全地球が停電、ゲームオーバーです。
「テクノロジー依存が進む現代、われわれはかつてないほど宇宙気象に無防備になっています。今、異常現象のイベントに襲われたら阻止するのは極めて難しい」と、米国海洋大気庁(NOAA)の宇宙天気予報センターのThomas Berger所長はGizmodoの取材に語ってます。
巨大な太陽嵐が地球を最後に襲ったのは19世紀半ば。そろそろ「次」が来るんではないかと、宇宙天気研究者の間では大いに懸念されているのです。
1859年9月のキャリントン・イベントは、リチャード・キャリントンというイギリス人天文学者が太陽フレアを観測して数日後、強力なCMEが数度に渡って地球を襲いました。電流が電報網を伝わって技師が感電、電報用紙が発火し、広い範囲で通信網が遮断されました。
米国科学アカデミーに載った報告書によると、今キャリントン級イベントが起こった場合の被害総額は推定2兆ドル(243兆4600億 円)で、10年前のハリケーン・カトリーナの20倍、東日本大震災(16兆9000億円)の14倍です。
宇宙気象観測所も増え、CME予報の技術は20年前より格段に進化しています。が、いざ超巨大ソーラーストームがきたら、人類としては打つ手なしだという点では、当の宇宙気象学者の間でもほぼ見解が一致しています。
https://www.gizmodo.jp/2015/09/post_18168.html
太陽フレア 2022年から2023年に最大に 地球への影響は?
観測開始から25回目となる太陽フレアのピークが、2022年から23年に発生する。ロシア・サンクトペテルブルグ市プルコヴォ天文台のユーリー・ナゴビツィン学術主任がこのような予測を発表した。
ナゴビツィン氏は、「太陽フレアのサイクルは2019年に始まる恐れもあるが、おそらくは2020年になると思われる。しかしこれはサイクルの始まりでしかないため、これで地球の磁気の大幅な乱れが起きることはないだろう。太陽フレアのサイクルの実際のピークは、2022年から2023年になる」と語った。
巨額の損失の可能性についてはナゴビツィン氏は、特にエコノミストらの言うようなスケールではほとんど生じないと強調し、いくつかの人工衛星の配置に影響が生じる恐れはあるが、しかし、地球規模の大災害は予想されないと述べている。
さらに、ナゴビツィン氏は、「強力なフレアが発生しているときに地磁気効果がより強い極圏を航空機が飛行したなら、パイロットは年間放射能線量を浴びる恐れがある。また、高速粒子の通過中に宇宙飛行士が船外活動を行えば、健康が害される心配がある」と指摘した。
https://jp.sputniknews.com/science/201812105685188/
太陽でも起こるかもしれない「スーパーフレア」
若い星でしか起こらないと考えられてきた「スーパーフレア」が、太陽でも起こりうることが統計的な研究から示された。通常の数百から数千倍もの大規模爆発がもし太陽で起これば、地球にも大きな影響を及ぼすことは必至だ。
太陽以外の恒星でもフレアは発生しており、記録に残る最強の太陽フレアの数百倍から数千倍ものエネルギーを発する「スーパーフレア」を起こすものもある。こうしたスーパーフレアは、ほぼ若く活発な星にしか起こらず、太陽では発生しないと考えられてきた。研究チームは、太陽と同タイプの恒星で発生した43現象のスーパーフレアを統計的に調べた。その結果、若い星ほどスーパーフレアを起こしやすいが、誕生から46億年経った太陽のような星でも全く起こらないわけではないという結論が導かれた。
若い星は毎週のようにスーパーフレアを起こすのに対し、太陽のような星の場合は数千年に1回ほどだが、今後100年間で起こる可能性はゼロではないという。
「1000年前なら太陽でスーパーフレアが起こったとしてもきれいなオーロラが見られるぐらいで大した問題はなかったでしょう。しかし電子機器に囲まれた現代の生活には深刻なダメージとなります」
https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/10681_superflare
太陽嵐による損失は1日5兆円近くなるという
太陽嵐の被害を経済活動全体で見ると、1日あたり数百億ドル(数兆円)にのぼるっていう推定が出されたんです。そしてこの損失の半分以上は、太陽嵐の直接的被害を受けた地域以外で発生するみたいなんです。
太陽嵐に伴うコロナ質量放出(CME)には、電力網を破壊する力があります。電気に依存した我々の文明はかつてなくこの嵐の影響を受けやすくなっていて、直撃されればモバイル端末から衛星まで、一斉にダウンする可能性があるんです。米国北部だけが停電する場合でも、それは米国の人口の8%に相当し、米国内での経済的損失は1日あたり62億ドル(約7000億円)、さらに国際的サプライチェーンへの影響で10億ドル(約1100億円)かかります。
https://www.gizmodo.jp/2017/01/billions-of-dollars-could-be-lost-if-a-massive-solar-storm-comes.html
自動運転車に思わぬ敵「太陽嵐」
過度の日光が、来るべき自動運転車に問題を引き起こす恐れがあることが分かった。危険をもたらすのは、太陽から大量の物質とエネルギーが爆発的に噴出して地球の磁場を乱す「太陽嵐」だ。太陽嵐は人間のドライバーには即座に感知されないものの、自動車の衛星利用測位システム(GPS)と位置情報を提供する衛星のデータ接続を断ち切る可能性がある。技術者らが十分な注意を払わなければ、現在開発中の無人自動車は支障を来すかもしれない。
太陽嵐は5段階に分類され、最強クラスになると国際送電網を損傷し、人工衛星を機能停止に陥らせ、地球の日の当たる側で無線通信を不能にする可能性がある。
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180424/mcb1804240500015-n1.htm
太陽の極域を撮影する初の探査機、宇宙へ旅立つ
欧州宇宙機関(ESA)の太陽探査機、ソーラー・オービター(SolO)が、これまで見られなかった太陽の極域の詳細な観測を行うことになっている。
SolOは10種の観測機器を使って、太陽から放出されるエネルギー粒子の流れ、いわゆる太陽風がどのように起こるのかを、文字通り新たな視座から明らかにしようとしている。また、太陽活動において磁場の強さが11年周期で変化したり、予期しない変動が起こったりする仕組みについても探る予定だ。
太陽活動の研究は、学問的関心だけでなく、地球の安全という点からも求められている。太陽の磁気活動の変化で起こる強力な大爆発は、送電網を停止させ、人工衛星を故障させ、宇宙に滞在する人間に致命的な危害を及ぼす可能性がある。現在のところ、このような爆発がいつ起こり、地球にどれほどの影響を与えるのかは予測ができない。「太陽大気の内側で起こっている根本的、物理的過程が理解できれば、大きな助けになります」
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/021300092/