宇宙で初めて食事をした人物
人類初の宇宙飛行士と言えば、「地球は青かった」という名言で知られている、旧ソ連(現在のロシア)のユーリ・ガガーリンです。彼がボストーク1号に乗って宇宙へ行ったのは1961年4月のことでしたが、このときはまだ食事を摂ることはありませんでした。
というのも、彼が宇宙にいたのはわずか2時間弱だったため、食事は必要なかったのです。
人類史上初めて宇宙で食べ物を口にしたのは、それから4カ月後の1961年8月、同じく旧ソ連のボストーク2号に搭乗し、1日ちょっと宇宙に滞在したゲルマン・チトフ飛行士です。
続いて、翌1962年にはNASAの「マーキュリー計画」において、ジョン・グレン飛行士も食事を摂っています。
ただしこの頃は、歯磨きチューブのような容器に入った野菜ペーストなどで、味もイマイチだったようです。
https://woman.mynavi.jp/article/140122-27/
宇宙食の歴史
宇宙食は、主に宇宙船の中で宇宙飛行士が食べる食物のこと。宇宙船の狭い居住スペースの中の無重量状態で、限られた設備を有効活用し、いかに宇宙飛行士の栄養を満たすかの様々な工夫がなされてきた。
1961-1966年 マーキュリー・ジェミニ計画用に開発された宇宙食
一口サイズの固形食、チューブに入ったペースト状のもの。
1968-1972年 アポロ号の宇宙食
お湯が使用されるようになり、食品を水で戻して暖かい食事が可能となった。食事のメニューも増えた。
1973年 スカイラブ計画地上訓練中に使用された宇宙食
生医学実験なども行われたため、食事内容も綿密にコントロールされた。半数は加水食品で、他に温度安定化食品、自然形態食品、フリーズドライ(凍結乾燥)食品、放射線照射食品が提供された。ナイフ、フォーク、スプーンを使うようになった。
スペースシャトルの宇宙食
一部の市販食品、自然形態食も提供されるようになり、食事の形態はだいぶ地上の生活に近いものとなっている。
国際宇宙ステーション(ISS)の宇宙食
国際協力により宇宙ステーションが運営されることから、各国の宇宙機関で開発した宇宙食が持ち込まれるようになった。
http://karapaia.com/archives/52116058.html
宇宙食に認定された身近な日本食とは?
最近「宇宙の民主化」が活発化しています。民間企業が宇宙船を開発したり、宇宙と地上をつなぐメディアが開設されたり。より多くの人たちが宇宙ビジネスに対してエネルギーを注いでいるように見えますが、同様に注目したいのが「宇宙食の多様化」です。
2019年10月にはローソンの人気商品「からあげクン」が宇宙航空研究開発機構(JAXA)から“プレ宇宙日本食”の認証を受けました。
宇宙日本食とは、食品メーカーが提案する宇宙食をJAXAが評価して、一定の基準を満たすと認証されるもの。ここではJAXAから宇宙日本食認証を受けたメニューを一部ご紹介しましょう。
初の宇宙日本食に認証されたのが、キユーピー株式会社の「キユーピーマヨネーズ」と「アヲハタ白がゆ」。宇宙日本食の第一号に認証されました。
おつまみとして不動の人気を誇る「亀田の柿の種」も宇宙食に認証されています。
理研ビタミン株式会社の「わかめスープ」と「お吸い物」は宇宙日本食に2007年に認証されました。
キッコーマン食品では、宇宙空間では骨密度が低下しやすく、ナトリウムを摂取するとカルシウムの代謝が進むことから、食塩分が控えめの「キッコーマン いつでも新鮮 塩分ひかえめ丸大豆生しょうゆ」をエントリーし、2017年にJAXAに認証されました。
2019年11月28日時点で宇宙日本食には、20社が作る36品目が認証されています。宇宙日本食は外国人宇宙飛行士の間でも人気があるそう。
https://getnavi.jp/cuisine/456241/
宇宙で食料を作る試み
宇宙食をいつも地上で食べているような”普通のもの”にしたいという要求も当然ある。すでにある食品を宇宙食化するだけでなく、新たに宇宙で食料を作ろうという試みも始まっている。JAXAと民間企業が共同で2019年3月から開始した「Space Food X」は宇宙の食料生産の技術、マーケットの創出を目指すプログラムだ。
金井宇宙飛行士が語ったところによれば、「地上から隔絶され、閉鎖環境で暮らす中で、3度の食事はありがたかった。皆で食事を囲み『同じ釜の飯を食べる』チームづくりには、食事を囲む歓談の存在が非常に大きい」という。また、普段の食事はレトルト食品や缶詰などが多いが、ISSに物資を届ける日本のHTVなどの補給船には生の果物や野菜などの生鮮食品が搭載されている。これもクルーのモチベーション向上に大きな役割を果たしたという。
また、NASAは宇宙でレタスや水菜などを栽培する実験を進めており、2020年からはトマトやトウガラシなどの実野菜にも挑む。食べられる植物を栽培することは、食糧生産だけでなく「時間の経過を感じられるポジティブな心理的効果がある」とされているが、金井宇宙飛行士によれば「実験実験で忙しい生活の中で、水やりなど手間暇をかけている余裕がなかなかない」といい、野菜栽培が誰にとってもポジティブというわけでもないようだ。
宇宙での生活から得られたエピソードを積み上げて行くと、たった6人の宇宙飛行士という集団でも食に関する嗜好は多様で、差が大きいように思われる。宇宙での食糧生産に向けた取り組みは、この多様性を受け入れられるようになったときに花開くのではないかと思われる。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13450.php
宇宙でクッキー作り 無重力専用のオーブン開発へ
ISSでの半年近い長期滞在生活で欧米人にとって最もツライのが、焼きたてのパンやクッキーが食べられないことだ。精密機器に囲まれたISS内で、万が一、パンくずなどが飛び散ったりすれば、電気系統パネルに挟まって火災を引き起こしたり、宇宙飛行士の目に突き刺さるおそれがあることから、持ち込みが禁止されている。またISS内では電力に限りがあるために、一般的なオーブンの電力消費量の10分の1ほどしか使えないし、温度が45℃を超える加熱機の使用も禁じられている。
そこでヒルトングループのホテルチェーン「ダブルツリー」は、無重力空間で使用する実験装置などの開発を行っている「ゼロGキッチン」のユニットと組んで、宇宙で温かいクッキーを焼くためのオーブンの開発に挑戦中だ。
https://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/2/9/29933.html
宇宙空間で培養ステーキ肉の生成に成功
細胞培養肉の開発に取り組むイスラエルのスタートアップ企業「アレフ・ファームズ」は、地球から339キロメートル離れた国際宇宙ステーション(ISS)において、露企業「3Dバイオプリティング・ソリューションズ」の3Dバイオプリンターを用い、培養肉を生成することに世界で初めて成功した。
動物細胞から複数の種類の細胞を培養し、三次元に成型することで、食肉と同じ見た目や味、食感が再現された”肉”が生成できる。一般に、牛肉1キロを生産するためには1万リットルから1万5000リットルの水が必要とされているが、培養肉の生産に要する水や土地は、従来の畜産に比べて10分の1程度だという。
土地や水資源に依存せず、屠殺せずに食用肉を生産する新たな手法が、微小重力状態でも適用可能であることを示す成果として、注目を集めている。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/10/3d-6.php
「Space Food X」宇宙と地球の食の課題解決を目指す共創プログラム
宇宙から創る、食と人と地球の未来。
人類はこれまで、食べ物を求めて森を切りひらき、食べきれないものは捨て、分解しきれないゴミの山を作ってきた。この先も同じ道を歩むのか。僕らは、その答えを宇宙に描く。
資源が限られた宇宙なら、人は、ゴミや排泄物すら再利用しながら、栄養と美味しい食事を生み出す工夫をするだろう。
2040年、月では1000人が生活すると言われる。それまでに僕らで創ろう。サステナブルで、真に豊かな人類の未来社会を。日本の「技術」「ビジネス」「文化」の力を結集し、食から未来を変えていく。
宇宙で。そして、もちろん地球でも。
近年、世界各国で宇宙開発が加速しており、近い将来に月や火星で人が暮らすようになります。月や火星で長期に渡って生活するためには、現地にて少ない資源で効率的に食料を生産する技術など、様々な技術や知恵が必要です。また、人口が増える地球でも食の問題は共通課題。私たちSpace Food Xは、日本発の優れたテクノロジー、ビジネス、カルチャーの力を結集して、宇宙と地球の共通課題である食の課題解決に挑みます。
https://www.spacefood-x.com/
「宇宙で地産地消」の技術進めば、地球でも
JAXAなどは、宇宙や地上での食料の生産・供給の課題解決やマーケットの創出をめざす「Space Food X」プログラムをスタート。月面での地産地消を想定した「月面ディナー1.0」を発表した。メニューは、培養肉によるステーキ、藻類のスープ、水耕栽培の野菜のサラダなどだ。月など宇宙で育てたものを現地で食べるこのシステムは、2040年の実現に向け、関係企業と共に技術開発などを進めていくとしている。
–宇宙ビジネスの中でも新しい取り組みだと思います。特に日本は優秀な食文化を持っていますので、何かオリジナルなものを出せるのではないかと思っています。そして“宇宙と地球のデュアルユース”といって、この技術が進めば、宇宙のためだけではなくて地球のためにもなるのではないかと考えています。
https://www.news24.jp/articles/2019/03/28/07424686.html