小惑星探査機「はやぶさ2」とは

小惑星探査機「はやぶさ2」(Hayabusa2)は、数々の新しい技術に挑戦し2010年6月に地球への帰還を果たした小惑星探査機「はやぶさ」(MUSES-C)の後継機です。

「はやぶさ」では、イオンエンジンによる新しい航行方法を確立しながら、太陽系の起源の解明に繋がる手がかりを得ることを目的に、小惑星イトカワのサンプルを持ち帰りました。今回「はやぶさ2」では「はやぶさ」で培った経験を活かしながら、太陽系の起源・進化と生命の原材料物質を解明するため、C型小惑星「Ryugu」(リュウグウ)を目指します。

地球をつくる鉱物、海の水、生命の原材料物質は、太陽系初期には原始太陽系星雲の中で密接な関係を持っていたと考えられており、始原的な天体であるC型小惑星から採取したサンプルを分析し、太陽系空間にあった有機物や水がどのようなものであったのか、またどのように相互作用し共存してきたかを探ることで、生命の起源にも迫ることができると期待されています。

http://www.jaxa.jp/projects/sas/hayabusa2/index_j.html

「はやぶさ2」のミッション

「はやぶさ2」は、基本的には「はやぶさ」で行ったサンプルリターン方式を踏襲します。ただし、より確実にミッションを行えるよう、信頼性を高める様々な改良が加えられています。またその一方で、小惑星表面に人工的なクレーターを作り、地下のサンプルを持ち帰るといった、新しい技術を使ったミッションにも挑戦していきます。

「はやぶさ2」が目指す小惑星は、(162173)リュウグウです。リュウグウはC型の小惑星ですが、太陽系が生まれた頃(今から約46億年前)の水や有機物が、今でも残されていると考えられています。地球の水はどこから来たのか、生命を構成する有機物はどこでできたのか。そのような疑問を解くのが「はやぶさ2」の目的です。また、最初にできたと考えられる微惑星の衝突・破壊・合体を通して、惑星がどのように生まれたのかを調べることも「はやぶさ2」の目的です。つまり、「はやぶさ2」は、太陽系の誕生と生命誕生の秘密に迫るミッションなのです。

http://www.isas.jaxa.jp/missions/spacecraft/current/hayabusa2.html

「はやぶさ2」が目指したC型小惑星「Ryugu」(リュウグウ)ってどんな小惑星?

小惑星リュウグウは、1999年5月10日に米国のLINEARプロジェクトによって発見されました。「はやぶさ2」が最初に提案された2006年から探査候補に挙げられていましたが、「はやぶさ2」が2014年12月に打ち上げられた後の2015年9月に、「リュウグウ」という名前が付けられたのです。

「はやぶさ2」が行く小惑星としてリュウグウ(1999 JU3)が選ばれた理由ですが、第1に探査機が行って戻ってこられる軌道にあることが条件ですが、2番目に重要な条件はC型の小惑星である、ということです。

C型小惑星は、炭素質コンドライトと呼ばれている隕石の母天体だと考えられており、有機物や水を含んでいると思われています。まさに「はやぶさ2」が調べる科学のテーマであるので、C型小惑星のリュウグウが「はやぶさ2」の探査天体に選ばれたわけです。

リュウグウについてもその本当の姿はどのようなものなのか「はやぶさ2」が到着してみないと分かりませんが、「リュウグウは大きさ(直径)が900mほどのほぼ球形をした小惑星であり、表面は黒っぽい(反射率が小さい)色をしており、7時間半ほどで自転しているC型の小惑星である」と推定されています。

http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20180323/

はやぶさ2が成し遂げた7つの「世界初」 

2014年に打ち上げられた「はやぶさ2」は7つの「世界初」を成し遂げた。

① 小型探査ロボットによる小天体表面の移動探査

② 複数探査ロボットの小天体上への投下・展開

はやぶさ2は「ミネルバ2」という小型探査ロボット2台を小惑星「リュウグウ」に投下、着陸を成功させた。ミネルバ2は、リュウグウ表面にある1センチ程度から100メートルにも及ぶ大小様々な岩石の写真を次々と撮影することに成功した。こうした移動能力があるロボットを着陸させ、実際に観測に成功させたのがはやぶさ2のはじめての世界初だった。

③ 天体着陸精度60㎝の実現

地球から数億キロ離れた小惑星にはやぶさ2を着陸させることについて、JAXAは以前、「日本からブラジルへ6センチの的を狙うのと同じ」「20キロ上空から甲子園球場のマウンドに降りるようなもの」など様々な例えでその難しさを表現していた。ただでさえ難しい着地に2回も成功したはやぶさ2。人工クレーター作成と地下物質採取の目的のために、ピンポイントの着陸はミッションの命運をわける重要な岐路になっていた。

④ 人工クレーターの作成とその過程・前後の詳細観測

インパクターと呼ばれる衝突装置を切り離し、爆発させ、リュウグウの表面に金属の弾を打ち込むというダイナミックなもので、その結果、直径15メートルほどのクレーターの作成に成功。その一部始終の撮影にもはやぶさ2は成功している。ちなみに、このクレーターは後に「おむすびころりん」と名付けられる。

⑤ 同一天体2地点への着陸

⑥ 地球圏外の天体の地下物質へのアクセス

リュウグウは予想以上に着陸が難しい環境だった。試練に耐えながらチームは、ことし2月22日に見事、1回目の着陸に成功させる。人工クレーターを作る際に地下物質を噴出させ、クレーターのふちに着陸し、物質を採取するという途轍もない計画だが、はやぶさ2は見事2回目の着陸に成功する。地下物質の採取も成功が確実視されている。いうまでもないが、2度の着地や採取は世界初の快挙だ。2回目にはやぶさ2が降り立った地点については「科学的成果がたくさん出ますように」という願いを込めて「うちでのこづち」と命名されることになる。

⑦ 最小・複数の小天体周回人工衛星の実現

トラブルにより、本来の機能を失った小型ロボット「ミネルバⅡ2」やターゲットマーカーを投下し、リュウグウを周回させ、惑星の重力分布などの調査に生かそうというもので、無事成功。ことし10月に行われたこのミッションがはやぶさ2の小惑星リュウグウでの最後のお仕事となった。

https://www.fnn.jp/posts/00049601HDK/201912311130_SotaroKaneko_HDK

「はやぶさ2」帰還へ 1回目のエンジン噴射 無事終了

日本の探査機「はやぶさ2」は、地球に帰還するための1回目のメインエンジンの噴射を無事に終えて、計画どおり飛行を続けているとJAXA=宇宙航空研究開発機構が公表しました。

「はやぶさ2」は1秒間に24.35キロのスピードで、地球からおよそ2億3900万キロ離れた場所を計画どおり飛行しているということです。

「はやぶさ2」は、2020年5月から2度目となるイオンエンジンの噴射を行い、「リュウグウ」の岩石の破片が入ったとみられるカプセルを、2020年11月から12月にかけて分離してオーストラリアの砂漠に落下させる計画です。

また「はやぶさ2」は、その後、新たな探査を行うことが検討されていて、JAXAは2020年夏ごろまでに具体的な計画を決めたいとしています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200220/k10012294071000.html

はやぶさ2が作った「人工クレーター」の大きさや深さが判明!

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」は、小惑星「リュウグウ」において昨年2019年2月と7月にサンプル採取を実施し、現在は地球への帰路についています。2度目の採取ははやぶさ2によって人工的に形成されたクレーターの付近で行われたのですが、この人工クレーターの大きさや深さを分析した論文が、クレーター形成の瞬間から数分間の様子を捉えた画像とともにサイエンスの電子版に掲載されました。

研究チームによると、形成前のリュウグウ表面を基準にした人工クレーターの直径は14.5m(誤差プラスマイナス0.8m)で、最も深い場所は形成前の表面から1.7mに達していたことが判明。人工クレーターの周囲には形成時の噴出物や衝撃で生じたとみられる半円形のリム(隆起)があり、その直径が17.6m(誤差プラスマイナス0.7m)であることもわかりました。

https://sorae.info/space/20200321-haya2.html

リュウグウの人工クレーター、地上の7倍 表面サラサラ

探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」に作ったクレーターは、地上実験の7倍の大きさだったことが詳しい画像解析から分かった。重力がほとんどない影響を差し引いても想定以上の大きさという。神戸大の荒川政彦教授は「大小の岩に覆われているにもかかわらず、砂のように流動的に振る舞うサラサラの状態のようだ」と驚いた。

また、地表にある多くのクレーターの大きさと数の関係から、リュウグウは、640万~1140万年にわたって、天体の衝突が頻繁に起こる小惑星帯にいたことが分かった。リュウグウができたあと、火星から木星軌道付近の小惑星帯にいたが、その後、木星の重力の影響などで地球に近づくようになったらしい。

https://www.asahi.com/articles/ASN3M4SRLN3LULBJ00F.html

はやぶさ2、再び小惑星へ 地球帰還後も任務継続―対象天体を選定へ・JAXA

小惑星「りゅうぐう」での観測を終え、地球に向けて飛行を続ける探査機「はやぶさ2」について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の運用チームは9日までに、今年末ごろの地球帰還後、再び別の小惑星の接近観測に向かわせる方針を固めた。技術的条件や科学的な価値などを検討した上で、近く行き先となる天体を決める。運用チームは、10年前後で到達可能な小惑星の中から選定を進め、新たな目的地として提案する。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020010900196&g=soc