40年以上前に打ち上げられた探査機ボイジャー

宇宙に存在する生命体はわれわれだけなのだろうか──? この問いに対する答えを見つけるため、米航空宇宙局(NASA)のロケット科学者らは1977年9月5日、人工物として地球から最も遠く離れた場所を目指す双子の無人探査機「ボイジャー(Voyager)」を打ち上げた。そして2機は現在もなお、宇宙空間を飛び続けている。

ボイジャー計画に参加した科学者の一人、エド・ストーン(Ed Stone)氏は、「打ち上げ時には、40年後も何かが作動し、先駆的な旅を続けているとは誰一人思っていなかった」と明かした。

ボイジャーは、木星や天王星、海王星といった他の惑星の探査を主任務とする一方で、人類の存在を広い宇宙に知らしめる役目も任された。

両機には宇宙人との遭遇に備えて、人類や地球上の生物に関する基本情報を収めた10億年以上の耐久性を持つ金色のレコードとプレーヤーが積み込まれている。

両機のうち、ボイジャー2号がまず1977年8月20日に、次いで1号が同年9月5日に打ち上げられた。

両機はこれまでに誰も目にしたことのない惑星の姿を次々と明らかにしていった。木星の表面に見える地球2個分の大きさを持つ巨大な渦「大赤斑(Great Red Spot)」も、そうした発見の一つだった。

ボイジャー1号はこれまでに造られたどの宇宙船よりも最遠の地へ到達し、2012年8月には地球から約210億キロ離れた太陽系外の星間空間に突入。また史上初めて木星・土星・天王星・海王星という4惑星すべてのそばを航行したボイジャー2号も、1号同様いずれ太陽系外に飛び出す見通しだ。

ボイジャーからは今なお日報が届いており、研究者らは今後さらに10年前後はデータが得られるのではと期待している。

https://www.afpbb.com/articles/-/3141626

ボイジャー1号が太陽系の果てで発見したもの

ボイジャー1号は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の惑星探査機。ボイジャー2号とともに、木星や土星の探査を行いました。

ボイジャー1号は1977年9月5日に打ち上げられました。打ち上げられたのはボイジャー2号より後(2号の打ち上げは同年8月20日)でしたが、ボイジャー1号の方が早く木星と土星に到達します。

1979年3月5日、木星に最接近。最接近時の距離は木星から28万kmでした。木星と衛星の写真撮影をし、木星の細いリングを発見したり、衛星イオで活火山を発見したりするなどの成果をあげました。地球以外で活火山が発見されたのは、イオが初めてのことでした。

1980年11月12日、土星に最接近。最接近時の距離は土星から12万6000kmでした。土星のリングを詳しく観測したほか、羊飼い衛星を発見するなどの成果をあげました。また、厚い大気に覆われているタイタンを観測し、大気の90%が窒素からなることを発見しました。タイタン表面に液体がある可能性も示唆されました

1990年2月14日、ボイジャー1号は太陽から約40au(60億km)離れたところに位置していました。ボイジャー1号はその位置で太陽の方向を振り返り、太陽と惑星たちの「家族写真」を撮影します。そのとき撮影したものが、2機のボイジャーが映した最後の画像になりました。

2012年8月1日、ボイジャー1号は太陽圏を抜けて恒星間空間へと入りました。太陽圏を抜けたのはボイジャー1号が史上初めてです。ボイジャー1号は現在、秒速約17kmの速度で恒星間空間を移動しています。

2019年12月現在、ボイジャー1号は太陽から221億km以上離れたところにいます。

https://astropics.bookbright.co.jp/voyager-1

ボイジャー2号からのデータで発見…太陽圏と恒星間空間の間には不可解な層がある

米航空宇宙局 (NASA) の探査機ボイジャー2号は、1年近く前に太陽系を脱出し、恒星間宇宙に入った2機目の探査機となった。

2012年に太陽系の端に到達した姉妹機のボイジャー1号から6年間遅れたが、ボイジャー1号では、プラズマ測定器が損傷し、太陽系から恒星間宇宙への飛行に関する重要なデータを収集できなかった。しかしボイジャー2号は、機器が正常な状態で太陽系を離れ、一連のデータを完成させた。

データ解析の結果、太陽圏と恒星間空間の間には不可解な層があることが分かった。ボイジャー2号は、太陽からの荷電ガス粒子の流れである太陽風が太陽系から漏れ出ているのを検知した。太陽系の端を過ぎたところでは、太陽風が何百万年も前の超新星爆発によって宇宙を流れるガスや塵、荷電粒子からなる星間風と相互作用している。

ボイジャー2号による新たな測定結果によると、太陽系と恒星間空間の境界は、かつて科学者が考えていたほど単純ではないかもしれない。データはヘリオポーズの先に未知の境界層があることを示している。この領域では、太陽風が宇宙空間に漏れ、星間風と相互作用する。宇宙線の強度は外宇宙の90%にすぎなかった。

科学者たちは、新たに発見された謎の層の向こうに、星間プラズマがもっと厚い別の境界層があることを発見した。そこでは、プラズマの密度が、数十億kmにわたる領域で通常の20倍以上に跳ね上がる。これは、何かが太陽圏の外側からプラズマを圧縮していることを示唆しているが、科学者たちはそれが何かを知らない。

科学者たちは、ボイジャーが燃料切れになるまでの5年間、この境界線の研究を続けたいと考えている。

https://www.businessinsider.jp/post-201862

40年間無人で探査!? 宇宙で使う探査機は何の力で動いているの?

1977年、宇宙に打ち上げられた探査機ボイジャー1号・2号。理科の教科書などでその名前を聞いたことがあると思いますが、この2機が40年以上たった今も宇宙空間を飛び続けていることはあまり知られていないかもしれません。太陽系のさまざまな惑星や衛星の現象を観測してきたこの2機の無人探査機は、エネルギーの補給もないまま、なぜ40年も動き続けているのでしょうか?

その秘密は「原子力電池」にあります。原子力電池とは、原子核崩壊(放射線を出し、他の種類の原子核に変化すること)の際に発生するエネルギーを利用して発電する電池を指します。その燃料となる放射性元素に半減期の長いものを採用することで、数十年といった長寿命を実現できるというメリットがあります。ボイジャー1号・2号などの宇宙探査プロジェクトは数十年単位で探査機が無人稼働しなければならないという技術的な背景があり、長い年月の稼働を実現できる原子力電池が活用されているのです。

https://mikata.shingaku.mynavi.jp/article/36396/

太陽系外で活動していたNASAの探査機「ボイジャー2号」の全観測機器が停止(2020.1.25)

ボイジャー2号は太陽系の外惑星系の調査を目的として、NASAが1977年に打ち上げた無人宇宙探査機。1979年に木星、1981年に土星、1986年に天王星、1989年には海王星を探査するという壮挙を達成。その後も稼働を続けており、宇宙空間を漂いながら探査を続けていました。

ボイジャー2号は2018年12月10日に太陽圏を離脱。人類史上初となる星間空間の調査に踏み出しました。

2020年1月25日、40年以上も連続で稼働を続けていたボイジャー2号に原因不明の電力不足が発生。地球から180億km離れた宙域で一時的に全観測機器が停止しました。しかし、NASAは原因を特定し、ボイジャー2号を再起動することに成功しました。

https://gigazine.net/news/20200210-nasa-brings-voyager-2-back-online/

ボイジャー探査機の予測運用寿命は後5年に

ボイジャー計画に関わる科学者は10月31日、探査機の予測運用期間は残り5年になると発言しました。

https://news.biglobe.ne.jp/it/0905/zks_190905_0122135765.html

2021年までボイジャー2号にコマンドを送れなくなる。その理由とは

NASAが運用する通信アンテナのひとつが今月から重要な改修作業に入る予定なのですが、この作業が無人探査機「ボイジャー2号」との通信に影響することが案内されています。

改修作業に入るのは、NASAのジェット推進研究所(JPL)が運用する通信網「ディープスペースネットワーク(DSN)」を構成する通信アンテナのひとつで、「DSS 43(Deep Space Station 43)」と呼ばれています。

2021年1月までのスケジュールで行われるDSS 43の改修作業では、古くなった機器のメンテナンスだけでなく、今後実施される月や火星でのミッションに向けたアップグレードが施されます。改修作業中のDSS 43は探査機からの電波を受信することは可能ですが、DSS 43から探査機に向けて送信することができなくなります。地球から180億km以上も離れたボイジャー2号にコマンドを届けられるのは、強力な送信機と直径70mのサイズを誇るDSS 43のみ。つまり、今回の改修作業が終わるまで、ボイジャー2号にコマンドを送ることができなくなるのです。

https://sorae.info/space/20200305-voyager2.html

ボイジャーが60億km先から撮影した「ペイル・ブルー・ドット」

1990年2月14日、地球からおよそ60億km離れた場所を飛行していたNASAの無人探査機「ボイジャー」1号によって、地球を含む6つの惑星と太陽が撮影されました。撮影から30周年を迎えた今年、広大な宇宙に浮かぶ点のような地球の姿から「ペイル・ブルー・ドット(Pale Blue Dot:淡く青い点)」と呼ばれる歴史的な写真を、NASAが最新の技術を使って再処理しています。

1980年11月に土星の接近観測を終えたボイジャー1号はその後も観測を続けていましたが、探査機としての寿命を延ばすべく、カメラをシャットダウンすることになりました。このとき、当時ボイジャー計画に携わっていた天文学者のカール・セーガンによって、シャットダウンする前のカメラを使って「太陽系の家族写真(Family Portrait of the Solar System)」を撮影することが提案されます。

カメラのシャットダウン直前に実施されたボイジャー1号による太陽系の家族写真撮影では、金星、地球、木星、土星、天王星、海王星、そして太陽が写されました(水星は太陽に近すぎ、火星は散乱した太陽光にまぎれてしまい、冥王星は暗すぎたために写すことができませんでした)。地球が写った「ペイル・ブルー・ドット」と呼ばれる画像は、全部で60枚撮影された写真の1つとなります。

https://sorae.info/astronomy/20200214-pale-blue-dot.html