なぜ宇宙での植物栽培が重要なのか?

地球上空約400㎞を周回している国際宇宙ステーション(International space station: ISS)では、空気・水の一部を再生して運用していますが、食糧はすべて地球からの輸送に頼っているのが現状です。

しかし、将来的な月面探査や火星などそれ以上の深宇宙探査となると、輸送や備蓄できる食糧にはおのずと限界があり、現地で食料の生産・空気や水の浄化・物質のリサイクルを行うためのシステムが必要です。

日本の宇宙農業研究は30年前に宇宙科学研究所(ISAS)により、火星での有人活動を目指して開始されました。塩分の高い土壌に強い植物の栽培や、低重力でのミツバチの飛行、カイコなど昆虫食のメニューの検討が行われたそうです。

さらに近年の日本の宇宙探査計画として、月近傍の宇宙ステーションを建築する深宇宙ゲートウェイ構想があります。2017年よりJAXAは、地上の最先端植物工場技術を導入して月面農場システムを検討しています。

https://ablab.space/space-medicine/space-plant-2019/

宇宙で農業はできるの?

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は現在、火星で農業ができないか、研究中だよ。火星は地球のすぐ外側を回る惑星だね。でも、宇宙船に乗って往復するのに、なんと3年もかかるんだ。大量の食物を宇宙船に載せて持っていくのは大変だから、火星で農業をして、食べ物を作ろうとしているんだよ。

そこで、現在考えられているのが「温室ドーム」なんだ。ドームをフィルムで覆い、植物の光合成に必要な光を通し、危険な宇宙線や紫外線などを弱めるんだ。フィルムを何層も張って、隕石(いんせき)が当たってもすぐには、壊れない構造にするんだ。

ドームの内側は酸素や窒素を加え、植物が生育できるようにするよ。火星の南極には氷があるんだ。さらに、地下深くには水が流れていると予想されているよ。その水を循環させて農業や生活に使うんだ。

http://www.ja-gp-fukuoka.jp/education/akiba-hakase/003/006.html

国際宇宙ステーションで水菜を収穫

国際宇宙ステーション(ISS)では、将来の有人深宇宙探査で宇宙飛行士が食べる野菜を栽培し収穫する実証を続けている。2013年から始まった栽培実験は第4段階に進み、10月18日に史上初の女性宇宙飛行士ペアによる船外活動を行ったジェシカ・メイヤー宇宙飛行士が「ミズナレタス(水菜)」を収穫した。

2013年から始まった「VEGGIE(ベジー)」実証は、月面有人探査や火星探査といった長期間の宇宙滞在に備え、宇宙飛行士が自ら野菜を育てて食べられるシステムを開発する計画だ。ISSに設置された栽培実験装置は、ISSへの輸送を担う再使用型宇宙船「ドリームチェイサー」を開発するシエラネバダ・コーポレーションの子会社、オービタル・テクノロジーズ・コーポレーションが開発した。

2020年には緑の葉物野菜に続き、サラダ野菜の定番であるトマトの栽培が始まる。トマトはレタスよりも深く根を張る必要があり、栽培装置は新たに開発された。将来の火星探査に備えて、火星の表土を模擬した環境でトマトやトウガラシを栽培する地上の実験も始まっている。

https://news.yahoo.co.jp/byline/akiyamaayano/20191025-00148321/

JAXAが研究を進める「月面農場」、いつ実現?

人類が初めて月面に降り立ってから50年が経過する今、宇宙開発が再び注目されており、特に月面を目指して世界の各プレーヤーがテクロノジー開発を進めている。月面で有人活動を行うには月面基地が必要となり、月面基地を建設するためには月面地図や燃料・食糧の確保、有人機の離着陸ポート、通信インフラ整備など、多岐にわたるインフラ整備が必要となる。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、将来、人類が宇宙ステーションや月・火星で生活する際の食糧確保のために植物生産システム(月面農場)の研究を進めており、月面における宇宙飛行士の作業を最小限とするために、作業の自動化、高効率化を目指した技術開発を支援している。

https://newswitch.jp/p/20797

キリンHD、宇宙に近い環境で植物増殖 月面農場目指す

キリンホールディングス(HD)はこのほど、宇宙空間に近い環境で植物の増殖に成功したと発表した。キリンHDの独自の培養技術を活用し、宇宙を想定した低圧の環境で植物を増殖できるかどうかを確認した。宇宙空間で食料を安定供給できる「月面農場」の実現を目指す。

実験はJAXAを中心として産学連携で研究を進める「宇宙探査イノベーションハブ」構想の一環で実施した。宇宙での長期滞在を見据え、月面農場の実現を目指す。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53208170R11C19A2000000/

砂漠や宇宙でも食料生産を可能にする、環境に優しいタンパク質「Solein」商業生産へ

フィンランド発のフードテック・スタートアップSolar Foodsは同国のVTTテクニカルリサーチセンターとラッペーンランタ大学と共同で、電気、空気、バクテリアが混在した水で作るタンパク質豊富な粉末「Solein」を開発した。あらゆる食事の材料として使えるほか、将来的にSoleinを使って培養肉を作ることも検討されている。この生産モデルはビールに使用される発酵プロセスに似ており、砂漠、北極圏、宇宙といった極限環境で食料を生産することができる。

Solar Foodsは、欧州宇宙機関(ESA)と協力し、火星での任務に就く宇宙飛行士にも食事を供給する予定だ。また、このタンパク質から将来的に培養肉をつくることも目指している。

https://ideasforgood.jp/2019/08/01/solein/

宇宙で肉を「印刷」…どんな場所でも食料は生産できる

イスラエルのフードテック・スタートアップ、アレフ・ファームズ(Aleph Farms)は、宇宙で肉を「印刷」することに初めて成功した。ただ、肉を製造すること自体は初めてというわけではない。同社は2018年12月から実験室でステーキ肉を製造してきた。今回の実験では、どんなに厳しい環境でも肉が製造できる可能性が示された。

実験室で肉を製造するには、牛から採取した細胞を牛の体内環境を模倣した「スープ」に浸す。すると、それが成長して薄いステーキ肉の一片のようになる。そうしてできたステーキを味わった人は、少し物足りなかったようだが、実験の目的は牛肉の歯ごたえや風味を再現することにあった。

将来的には深宇宙へのミッションや月や火星での最初のコロニーのために、タンパク源を供給していきたいという。

https://www.businessinsider.jp/post-200263

中国が成功した「月面での植物発芽」が証明してみせたこと

月の裏側に着陸した中国の月面探査機「嫦娥4号」が運んだ植物の種が、月面の低重力にも負けず小型容器の中で発芽した。新芽は低温で全滅してしまったが、厳しい環境のなかでも種が発芽したという事実は、月面での植物栽培が可能だと中国が証明してみせたことを意味する。

今後の課題は多いが、ひとつ確かなことがある。月面での植物栽培が可能だと中国が証明してみせたことはまぎれもない事実だ。「いま私たち全員が投げかけるべき問いは、月の土を最善の方法で利用し、未来の月の住人たちの食糧を確保するにはどうすればよいか、ということです」

https://wired.jp/2019/02/03/china-first-plants-moon/